地震で車中泊する人を見て考えた。ホテル代は地震保険から出る?
地震のニュースを見ていると、避難所ではなく車の中で夜を過ごしている人の姿を目にすることがあります。
家そのものが大きく壊れていなくても、停電や断水、ガスの停止が続けば、いつも通りの生活を続けるのは難しくなります。
そんな映像を見ながら、「もし自分だったらどうするだろう」と考えました。
我が家には猫がいるので、避難所へ行くとしても「猫たちはどうする?」という問題があります。
車で一緒に過ごすのか、それともペットと泊まれるホテルを探すのか。ニュースを見ながら、そこまで考えてしまいました。
そして、もう一つ気になったことがあります。
地震で自宅にいられなくなり、自分でホテルを予約して避難した場合、そのホテル代は地震保険から出るのでしょうか。
調べてみると、私が想像していた地震保険の仕組みとは少し違いました。
地震でホテルに避難しても、宿泊費がそのまま地震保険から出るわけではない
先に結論を書くと、一般的な地震保険は、
「地震で家にいられないのでホテルに泊まった」
という理由だけで、宿泊費を実費で支払ってくれる保険ではありません。
たとえば、ホテルに7泊して10万円かかったとしても、
「領収書を提出すれば地震保険から10万円戻ってくる」
という仕組みではないということです。
財務省によると、地震保険は、地震・噴火またはそれらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没、流失などによる被害を補償する保険です。
対象となるのは居住用の建物と家財で、被害の程度によって「全損」「大半損」「小半損」「一部損」に区分され、保険金が支払われます。
つまり、ホテルにいくら使ったかではなく、建物や家財が地震によってどの程度の損害を受けたかが保険金の判断基準になります。
地震保険金を受け取ったら、ホテル代に使うことはできる?
ここは私自身、最初に少し混同していたところです。
地震保険はホテル代を実費精算する保険ではありません。
一方で、地震による建物や家財の損害が認定されて地震保険金を受け取った場合、その保険金は被災後の生活再建のために使うことができます。
つまり、
「ホテル代が10万円かかったから10万円支払われる」
のではなく、
「地震による損害に応じて保険金が支払われ、そのお金を避難生活などに使う」
という考え方です。
地震保険は、被災後の生活を立て直すための経済的な備えの一つとして設けられています。
この違いを知っておくだけでも、「地震保険に入っているからホテル代は全部大丈夫」と思い込まずに済みます。
家は壊れていないけれど、停電や断水で生活できない場合は?
今回、私が一番気になったのはこのケースでした。
家そのものには大きな損傷がなくても、
停電している。
水道が使えない。
ガスが止まっている。
トイレやお風呂が使えない。
そんな状態が何日も続けば、自宅で生活するのはかなり大変です。
特に夏や冬なら、エアコンや暖房が使えないことも大きな問題になります。
「家は残っているけれど、しばらくホテルに避難したい」と考える人がいても不思議ではありません。
ただし、停電や断水などのライフライン停止だけを理由に、通常の地震保険からホテル代が実費で支払われるわけではありません。
地震保険は、あくまで地震による建物や家財の損害を基準に保険金が支払われる制度だからです。
そのため、
「自宅で生活しづらい」
ことと、
「地震保険の支払対象になる」
ことは、同じではありません。
火災保険に入っていればホテル代は出る?
次に気になったのが火災保険です。
火災保険には商品によって、事故のあとに発生したさまざまな費用を補償する特約や費用保険金が付いている場合があります。
ただし、ここでも注意が必要です。
地震を原因とする損害は、通常の火災保険では補償されないのが基本です。
そのため、火災保険に宿泊費などに関係する特約が付いていたとしても、
「地震で避難したホテル代も必ず対象になる」
とは限りません。
保険会社や商品、契約している特約によって条件が異なるため、自分の契約内容を個別に確認する必要があります。
保険は「入っているかどうか」だけではなく、
何が原因で、どんな損害が起きたときに、何が支払われるのか
まで確認しておいたほうがよさそうです。
自分で予約したホテルと「避難所として用意されたホテル」は別
もう一つ知っておきたいのが、災害時にはホテルや旅館が避難所として使われる場合があることです。
内閣府では、災害時にホテル・旅館などを避難所として活用するためのガイドラインや、自治体が受け入れ体制を整えるための資料を公開しています。
ただしこれは、
「自分で好きなホテルを予約して、あとから自治体に宿泊費を請求できる」
という意味ではありません。
自治体などが避難先としてホテルや旅館を確保し、対象となる被災者を受け入れる仕組みとは分けて考える必要があります。
大きな災害が起きた場合は、すぐに自費でホテルを予約する前に、自治体からホテルや旅館を利用した避難について案内が出ていないか確認することも一つの選択肢です。
猫がいる我が家なら、避難先をどうする?
私の場合、やはり一番気になるのは猫たちです。
環境省では、災害時にペットと一緒に避難する「同行避難」を想定し、普段からキャリーバッグやケージに慣れさせること、水やフード、薬などを準備しておくことを案内しています。
ただし、同行避難は
避難所の同じ部屋で、ずっとペットと一緒に過ごせる
という意味ではありません。
避難所によってペットの受け入れ方法や飼育場所は異なります。
猫がいる家庭なら、避難所だけでなく、
ペットと泊まれるホテルは近くにあるか。
一時的に預かってもらえる場所はあるか。
キャリーやフード、猫砂をすぐ持ち出せるか。
といったことも考えておいたほうがよさそうです。
私自身、災害が起きてからスマホで「ペット可 ホテル」と慌てて探すより、今のうちにいくつか候補を知っておくだけでも安心感が違うと思いました。
車中泊を選ぶ人にも、それぞれ事情がある
ニュースで車中泊をしている人を見ると、最初は単純に
「ホテルに行かないのかな」
と思ってしまうこともあります。
でも実際には、避難所では落ち着けない、家の近くにいたい、ペットと離れたくないなど、人によってさまざまな事情があります。
内閣府も「在宅・車中泊避難者等の支援の手引き」を公開しており、避難所の外で生活する人への支援を想定しています。
車ならペットと一緒にいられるという安心感もあります。
一方で、長期間の車中泊には体調管理など別の問題もあります。
だからこそ、「避難所に行く」「車にいる」「ホテルへ移動する」という選択肢の中から、そのときの状況に合わせて選べるようにしておくことが大切なのだと思います。
保険とは別に「避難するためのお金」も考えておきたい
今回、私が意外だったのは、地震保険に入っていても、避難のために使ったホテル代がそのまま補償されるわけではないということでした。
もし自費でホテルに数日泊まることになれば、宿泊費だけでもまとまった金額になります。
ペット同伴可能な宿泊施設を探すとなれば、泊まれる場所が限られる可能性もあります。
地震への備えというと、水、非常食、防災用品、地震保険などを思い浮かべます。
でも、家から離れて数日生活するためのお金も防災の一部として考えておいたほうがよさそうです。
とはいえ、「災害用に現金を○万円用意すれば安心」と一律に決めるのは難しいでしょう。
家族の人数やペットの有無、住んでいる地域、避難方法によって必要な金額は変わるからです。
まずは、
「家族でホテルに3日泊まったら、いくらくらい必要になるだろう」
と一度計算してみるだけでも、自分の家庭に必要な備えが見えやすくなります。
我が家なら、そこに猫を連れて泊まれるかどうかも加えて考える必要があります。
地震保険に入っているから避難後のお金もすべて大丈夫、と考えるのではなく、
保険で備える部分と、自分で用意しておく部分を分けて考える。
ニュースで車中泊をする人たちを見て、私が今回一番考えさせられたのはそこでした。
家そのものを守る準備だけではなく、もし家から離れなければならなくなったときに「どこへ行くか」「ペットをどうするか」「そのためのお金をどうするか」。
何も起きていない今だからこそ、一度考えておきたいと思います。



