親が亡くなった後の固定資産税、名義がそのままなら誰が払う?
親が亡くなり、実家の名義がまだ親のままになっている。
そんなとき、「相続登記が終わるまで固定資産税もそのままでいいの?」と迷うことがあります。
私も最初は、登記の名義と固定資産税を払う人は同じように考えればよいと思っていました。
でも実際には、相続登記がまだ終わっていなくても、固定資産税の支払いが止まるわけではありません。
親が年の途中で亡くなっても、その年の固定資産税がなくなるわけではなく、未納分があれば相続人が引き継いで納めることになります。
そして翌年1月1日までに相続登記が終わっていれば、新しく登記された所有者が翌年度の納税義務者になります。
一方、相続登記が終わらないまま翌年1月1日を迎えた場合は、原則としてその土地や家を現に所有している相続人などが固定資産税を納めることになります。
つまり、
「まだ親名義だから、名義変更が終わるまでは固定資産税も親のまま」
という考え方ではありません。
固定資産税は毎年1月1日の所有者を基準に考える
固定資産税を理解するとき、まず覚えておきたいのが「1月1日」です。
固定資産税は、毎年1月1日の賦課期日時点の所有者を基準に課税されます。
たとえば、1月1日時点では父親名義だった実家で、その父親が年の途中に亡くなったとします。
その年度分の固定資産税については、死亡したことで残りの税金が消えるわけではありません。
未納分が残っていれば、相続人が納税義務を引き継いで納めます。
ここで大事なのは、固定資産税と相続登記をいったん別のものとして考えることです。
登記の名義がまだ変わっていなくても、税金について必要な対応がなくなるわけではありません。
名義変更前でも翌年の固定資産税はかかる
親が亡くなったあと、すぐに相続登記が終わるとは限りません。
兄弟姉妹で遺産分割の話し合いをしていたり、必要な書類を集めていたりすると、年をまたぐこともあります。
年内に相続登記が完了していれば、翌年度は新しく登記された所有者が固定資産税の納税義務者になります。
一方、登記が終わらないまま翌年1月1日を迎えた場合は、その土地や家を現に所有している相続人などが納税義務者になります。
そのため自治体では、相続登記が完了するまでの間、現所有者に関する申告を求めている場合があります。
たとえば「固定資産現所有者申告書」などの名称が使われますが、書類の名前や提出期限、手続き方法は自治体によって異なります。
相続した実家がある市区町村のホームページを確認するか、固定資産税を担当する窓口に問い合わせるのが確実です。横浜市では、登記名義人が亡くなった場合、現所有者であることを知った日から3か月以内に現所有者の申告を求めています。
相続人が複数いると固定資産税は誰が払う?
ここは特に勘違いしやすいところです。
たとえば父親が亡くなり、母親と子ども2人が相続人だったとします。
そのうち一人のところに固定資産税の納税通知書が届くと、
「この人だけが固定資産税を払うことになったのかな」
と思うかもしれません。
しかし、通知書を受け取る代表者と、固定資産税の納税義務を負う人は同じ意味ではありません。
相続人が複数いて相続登記が終わっていない場合、土地や家は相続人全員の共有財産として扱われ、固定資産税についても連帯して納めることになります。共有の固定資産では、それぞれが自分の持分だけを納めれば終わるという仕組みではありません。
自治体によっては納税通知書を受け取る代表者を決めるための届出があります。
ただし、その代表者だけが最終的に税金を負担するという意味ではありません。
実際の負担を相続人の間でどう分けるかは、家族で話し合っておく必要があります。
親の口座から自動引き落としされていた場合も確認する
固定資産税でもう一つ見落としやすいのが、口座振替です。
親が生前、自分の銀行口座から固定資産税を自動で支払っていた家庭もあると思います。
毎年自動で引き落とされていたと、家族が支払い方法を詳しく知らないこともあります。
ただ、死亡後にその口座が利用できなくなれば、それまでと同じように引き落とせないことがあります。
「今までも自動で払っていたから今年も大丈夫だろう」と思わず、納税通知書を確認して、今年度分がすでに支払い済みなのか、どの口座から支払っていたのかを一度確認しておくほうが安心です。
口座振替の変更や納付方法について分からない場合も、不動産のある市区町村に確認します。
固定資産税の届出をしても相続登記は終わらない
固定資産税について現所有者の申告をすると、
「これで家の名義変更もできたのかな」
と思ってしまいそうですが、そうではありません。
市区町村で行う固定資産税に関する手続きと、法務局で行う相続登記は別の手続きです。
固定資産税の現所有者として申告しても、不動産登記簿の名義が自動で変更されるわけではありません。
相続登記は2024年4月1日から義務化されています。原則として、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。
以前の相続分も義務化の対象になるため、まだ相続登記をしていない実家がある場合は、固定資産税とは別に登記の期限も確認しておきましょう。
相続登記の期限や過料については、別の記事で詳しく書いているので、ここでは「税金の手続きをしても登記は終わらない」という点だけ覚えておけば十分です。
まず納税通知書を探すところから始める
親が亡くなったあと、何から確認すればいいのか分からないときは、まず固定資産税・都市計画税の納税通知書を探すところから始めると状況をつかみやすくなります。
最初に、今年度分の固定資産税がすでに支払い済みなのかを確認します。
口座振替なら、どの口座から引き落としていたのかも見ておきます。
次に、相続登記がまだ終わっていない場合は、実家のある市区町村で現所有者についての申告が必要か確認します。
兄弟姉妹など相続人が複数いる場合は、納税通知書を誰が受け取るのかも決めておくと、その後のやり取りがしやすくなります。
そして固定資産税の手続きとは別に、相続登記についても進めます。
親の家の名義がそのままでも、固定資産税まで止まるわけではありません。
「登記がまだだから税金も後でいい」と考えず、
納税通知書を確認する。
必要なら市区町村で現所有者に関する手続きをする。
相続登記は法務局で別に進める。
この順番で考えると、親の家を相続した直後でも何をすればよいのか見えやすくなります。
分からない点がある場合は、固定資産税については不動産所在地の市区町村、相続登記については法務局で確認するのが確実です。
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参考にした公的情報
・総務省「固定資産税」
・横浜市「土地・家屋の名義人が亡くなられた場合の固定資産税・都市計画税について」
・横浜市「土地・家屋の名義人が亡くなった場合の固定資産税は…」
・法務省「相続登記の申請義務化について」



