金が高いなら銀やプラチナ?パラジウムまで「4つの貴金属」を比べてみた
ここ数年、金価格がニュースで取り上げられるたびに、「また上がったの?」と思うことが増えました。
以前よりずいぶん高くなった金を見ているうちに、ふと気になったのが金以外の貴金属です。
「金がこれだけ高いなら、もっと価格の安い銀やプラチナはどうなんだろう?」
そんな疑問から調べていくと、パラジウムという貴金属も個人で購入できることを知りました。
結論からいうと、金だけでなく、銀・プラチナ・パラジウムも投資対象になります。
ただし、「金より1gの価格が安いから買いやすい」「金が上がったから他の貴金属も同じように上がる」と単純には考えられません。
4つは価格が動く理由も違いますし、実物を買う場合は小売価格と買取価格の差もあります。
今回は、金が高くなった今だからこそ気になる4つの貴金属について、初心者の目線で比べてみました。
※記事内の価格は2026年9月17日時点のものです。貴金属価格は日々変動します。
金だけじゃない?銀・プラチナ・パラジウムも値動きが大きい
最近は金価格ばかりが注目されがちですが、動いているのは金だけではありません。
2026年9月17日の国際市場では、金の現物価格が1トロイオンス約4,309ドルとなり、前日比で1%以上上昇しました。
同じ時点で銀は約63.91ドル、プラチナは約1,772ドル、パラジウムは約1,287ドルで、この日は4つとも上昇しています。
ただ、同じ「貴金属」でも値上がりする理由まで同じではありません。
金は資産保全や投資目的で買われることが多く、金利や為替、世界情勢などの影響を受けます。
一方、銀・プラチナ・パラジウムは産業用途から受ける影響も大きいため、景気や工業需要、供給状況によって金とは違う動きをすることがあります。
金・銀・プラチナ・パラジウムは何が違う?
4つの特徴を大まかに整理すると、次のようになります。
| 貴金属 | 主な特徴 | 価格に影響しやすい要因 |
|---|---|---|
| 金 | 投資・資産保全・宝飾 | 金利、為替、世界情勢、投資需要 |
| 銀 | 投資+産業用途 | 投資需要、電子機器、太陽光発電など |
| プラチナ | 宝飾+産業用途 | 自動車、工業需要、供給状況など |
| パラジウム | 産業用途の比重が大きい | 自動車触媒、工業需要、供給状況など |
私の場合、銀には「金より安い貴金属」というイメージがありました。
しかし銀は投資対象である一方、電子機器や太陽光発電などにも使われる工業用金属でもあります。
プラチナやパラジウムも自動車をはじめとする産業用途と深い関係があります。
そのため、金が上がったから銀も上がる、金が下がったからプラチナも下がる、という単純な関係ではありません。
同じ貴金属でも、金は「資産」としての性格が比較的強く、銀・プラチナ・パラジウムは「資産」と「工業用素材」の両方の顔を持っていると考えると分かりやすそうです。
パラジウムも個人で買える?実際にインゴットが販売されている
パラジウムという名前は知っていても、個人が金のように購入できるとは思っていない人もいるかもしれません。
私も最初は、工業用として企業が取引する金属というイメージでした。
ところが日本でも、個人向けにパラジウムのインゴットを販売している事業者があります。
日本マテリアルではパラジウム100gのインゴットを取り扱っており、金・プラチナ・銀についても地金や積立などの商品・サービスがあります。
ただし、どの貴金属も金と同じように、どこの店舗でも簡単に買えるわけではありません。
事業者によって取り扱う種類や重量、購入方法、手数料、買取条件が違います。
「買えるかどうか」だけではなく、「あとでどこで売れるのか」まで確認してから考える必要があります。
金が高いなら、もっと安い銀やプラチナがお得?
そこで次に気になったのが、
「金より安い銀やプラチナなら、始めやすいのでは?」
ということでした。
2026年9月17日10時に日本マテリアルが公表した1gあたりの小売価格(税込)は次のとおりです。
| 種類 | 1gあたり小売価格 |
|---|---|
| 金 | 23,756円 |
| プラチナ | 9,914円 |
| パラジウム | 7,266円 |
| 銀 | 357.83円 |
※2026年9月17日10時時点、日本マテリアル公表価格。
こうして比べると、確かに銀は金よりかなり安く見えます。
金1gが2万円を超えているのに対して、銀は1g数百円です。
ところが、ここだけを見て「銀のほうがお得」と判断することはできません。
その理由の一つが、買うときと売るときの価格差です。
なぜ貴金属は買う価格と売る価格が違う?
貴金属の価格表を見ると、「小売価格」と「買取価格」が別々に表示されています。
小売価格は私たちが事業者から購入するときの価格、買取価格は私たちが事業者に売却するときの価格です。
この2つの価格には差があり、一般に「スプレッド」と呼ばれます。
貴金属の取引では、国際的な相場そのものだけで売買できるわけではありません。事業者側には地金の調達、加工、流通、保管、取引などに関わるコストがあり、商品や重量によっては別途手数料が設定される場合もあります。
そのため、「今日1万円で買ったものを、そのまま今日1万円で売れる」という仕組みではありません。
投資として考えるなら、この差を最初から知っておくことが大切です。
2026年9月17日|4つの貴金属の小売価格と買取価格を比較
同じ会社、同じ時刻で比べるため、日本マテリアルが2026年9月17日10時に公表した価格を使って計算してみました。
| 種類 | 小売価格 | 買取価格 | 差額 | 小売価格に対する差 |
|---|---|---|---|---|
| 金 | 23,756円 | 23,399円 | 357円 | 約1.5% |
| プラチナ | 9,914円 | 9,491円 | 423円 | 約4.3% |
| パラジウム | 7,266円 | 6,716円 | 550円 | 約7.6% |
| 銀 | 357.83円 | 340.78円 | 17.05円 | 約4.8% |
※すべて1gあたり・税込。2026年9月17日10時時点の日本マテリアル公表価格から単純計算。実際の取引では商品・重量・事業者などによって手数料や適用価格が異なる場合があります。
この数字は、思っていたより差がありました。
特にパラジウムは、この時点では金より小売価格と買取価格の差が大きくなっています。
仮に相場がまったく変わらない状態で買ってすぐに売るとすれば、その価格差があるため購入額をそのまま回収できません。
つまり、価格が上昇しても、まずこの差を上回らなければ利益につながらないということです。
もちろん、この割合は固定ではありません。
相場や事業者、商品、取引条件によって変わるため、「金は必ず1.5%」「パラジウムは必ず7.6%」という意味ではありません。
あくまで2026年9月17日の同一条件で比べた一例です。
インゴットは価格以外の手数料も確認したい
もう一つ見落としたくないのが手数料です。
表示されている「1gあたりの価格×重量」だけで必ず購入できるとは限りません。
小さな地金や特定の商品では、地金価格とは別に手数料が設定されていることがあります。
そのため実物の金・銀・プラチナ・パラジウムを購入する場合は、
・当日の小売価格
・買取価格
・小売価格と買取価格の差
・購入時の手数料
・売却時の条件
・取り扱っている店舗や事業者
まで確認しておくと、実際に必要なお金が見えやすくなります。
特に「1gの価格が安いから」という理由だけで比べると、スプレッドや手数料を見落としやすいと感じました。
「金より安い」だけでは銀やプラチナを選べない
最初は、金価格があまりにも高くなったので、「それなら銀やプラチナのほうが買いやすいのでは?」という単純な疑問でした。
でも4つを比べてみると、1gの値段だけでは判断できないことが分かります。
金・銀・プラチナ・パラジウムは、どれも価格が上がることもあれば下がることもあり、元本が保証されている商品ではありません。
さらに、価格を動かす要因、産業需要の大きさ、小売価格と買取価格の差、手数料、実物の買いやすさ・売りやすさも違います。
「金が高いから代わりに銀」
「銀よりプラチナのほうが高級そうだからプラチナ」
という選び方では、それぞれの違いを十分に見ているとはいえません。
これから金価格のニュースを見るときは、金だけではなく銀・プラチナ・パラジウムの値動きも一緒に見てみようと思います。
同じ「貴金属」という言葉でまとめられていても、中身は思っていた以上に違いました。
まずは価格の高さではなく、「なぜ値段が動くのか」「買う価格と売る価格はいくら違うのか」まで確認する。
金以外の貴金属を考えるときに、最初に知っておきたいポイントはそこだと思います。
参考にした公的情報
・日本マテリアル「価格情報」「地金の購入・売却に関する案内」
・田中貴金属「貴金属価格情報」
・The Silver Institute「World Silver Survey 2026」
・World Platinum Investment Council「Platinum Quarterly」
・Reuters「Precious Metals Market」2026年9月17日
※本記事は、貴金属の価格や特徴、取引の仕組みについて調べた内容をまとめたものであり、特定の貴金属や金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。価格・手数料・取扱条件は変わる場合があります。実際に取引する際は、各事業者の最新情報をご確認ください。



