ペアローンなら夫婦どちらかが亡くなれば住宅ローンはゼロ?団信に入っていても残るケース
家の名義について調べていたとき、夫婦で住宅ローンを組む「ペアローン」も気になりました。
私はこれまで、夫婦がそれぞれ団体信用生命保険(団信)に入っていれば、どちらかに万一のことがあったときは、家のローンが全部なくなるようなイメージを持っていました。
ところが、一般的なペアローンでは必ずしもそうではありません。
夫婦がそれぞれ住宅ローンを契約して、それぞれ団信に加入している場合、夫に万一のことがあれば夫のローンは団信で返済されても、妻自身が借りている住宅ローンはそのまま残るのが基本です。
一方、最近は夫婦のどちらかに所定の支払事由が発生した場合に、二人の住宅ローンを保障する連生型の団信を用意している金融機関もあります。
つまり、最初に知っておきたいのは、
「ペアローンで二人とも団信に入っている=どちらかが亡くなれば住宅ローンが全部ゼロ」ではない
ということです。
何がいくら残るのかは、住宅ローンの組み方と加入する団信の保障内容によって変わります。
国土交通省も、近年の住宅価格上昇などを背景に、35年を超える住宅ローンやペアローンの利用者が増えているとしています。家を買う前に、金利だけでなく「もし一人になったら返済はどうなるのか」まで確認しておきたいと思いました。
ペアローンでは夫婦それぞれに住宅ローンがある
ペアローンを理解するとき、まず押さえておきたいのが「夫婦で一つのローンを借りる」とは限らないことです。
一般的なペアローンでは、夫と妻がそれぞれ住宅ローンを契約します。
たとえば5,000万円の住宅を購入し、
夫が3,000万円
妻が2,000万円
を借りたとします。
この場合、「夫婦で5,000万円の住宅ローン」とひとまとめに考えるより、夫3,000万円、妻2,000万円という別々の借入れがあると考えるほうが、団信の仕組みも分かりやすくなります。
それぞれが団信に加入するタイプなら、基本的に夫の団信が保障するのは夫の住宅ローン、妻の団信が保障するのは妻の住宅ローンです。
ここを知らずに「二人とも団信に入っているから大丈夫」と考えてしまうと、万一のときに想定していた保障と違う可能性があります。
夫が亡くなっても妻の住宅ローンまでなくなるとは限らない
具体的な金額で考えてみます。
返済途中の住宅ローン残高が、
夫:2,500万円
妻:1,700万円
だったとします。
夫が死亡し、加入している団信の保険金支払条件を満たせば、夫の2,500万円は団信によって返済されます。
しかし、一般的なペアローンなら、妻自身が契約している1,700万円まで自動的にゼロになるわけではありません。
妻は自分の住宅ローンを引き続き返済することになります。
団信は、加入者が死亡するなど所定の状態になった場合に、保険金によって対象となる住宅ローンを弁済する仕組みです。住宅金融支援機構の団信でも、加入者に所定の事由が発生した場合の債務弁済について定められています。
「夫の団信は夫のローン、妻の団信は妻のローン」
一般的なペアローンを考えるときは、まずこの形をイメージしておくと分かりやすいです。
夫婦どちらかに万一のことがあれば全額保障される「連生団信」もある
一方で、夫婦のどちらかに所定の支払事由が発生したときに、二人分の住宅ローン残高を保障する連生型の団信もあります。
ただし、商品によって住宅ローンの契約形態や保障条件は異なるため、一般的なペアローンと同じ仕組みだと思わないことが大切です。
公的な例として、住宅金融支援機構には夫婦が連帯債務者となる場合に二人で加入できる「デュエット(ペア連生団信)」があります。
デュエットでは、夫婦のどちらかが死亡または所定の状態になった場合、残りの住宅ローンが全額弁済されます。
ただし、加入条件や保障される事由、保障が終了する年齢なども決められています。住宅金融支援機構の場合、デュエットは二人とも所定の加入条件を満たす必要があり、保障期間についても条件があります。
また、保障を厚くすれば費用が変わる場合もあります。住宅金融支援機構では、新機構団信のデュエットを利用する場合、新機構団信付きの融資金利に年0.18%が上乗せされます。
「連生団信だから安心」で終わらせず、誰に何が起きたとき、いくらまで保障されるのかを商品ごとに確認する必要があります。
住宅ローン残高4,000万円なら差は大きい
たとえば夫婦の住宅ローン残高が、
夫:2,400万円
妻:1,600万円
合計:4,000万円
だったとします。
一般的なペアローンで夫に団信の支払事由が発生し、夫の2,400万円が完済されても、妻には自分の1,600万円の住宅ローンが残ります。
一方、夫婦二人の債務を保障する連生型の商品で、その支払条件を満たしていれば、商品によっては残りの住宅ローン全体が保障される場合があります。
同じ「夫婦で住宅ローンを組む」という状況でも、万一のときに1,600万円が残るのか、対象となる債務全体が保障されるのかでは、その後の家計が大きく変わります。
月々の金利差だけを見るのではなく、この違いまで含めて住宅ローンを比較したほうがよさそうです。
団信で住宅ローンがなくなったら税金はかかる?
団信について調べると、もう一つ気になるのが税金です。
国税庁は、団体信用生命保険で死亡を理由に債務が免除される一定のケースについて、相続人がその債務を承継するものではなく、被保険者本人や相続人に所得税の課税関係は生じないという取扱いを示しています。
ただし、これはどの連生型団信にもそのまま当てはめられるとは限りません。
連生型の商品では、一方に支払事由が発生したことで、もう一方の本人名義の債務まで免除される仕組みの商品もあります。
国税庁の文書回答でも、前提となる事実関係が異なる場合には課税関係が変わることがあるとされています。
そのため、「連生団信なら必ず税金がかかる」「団信だから必ず非課税」と決めつけず、検討している商品の説明書や金融機関の案内を確認し、必要なら税務署や税理士に確認するのが安全です。
ペアローンを組む前に「一人になった場合」を計算しておく
今回、私がいちばん大事だと感じたのは、夫婦二人で返済できる金額だけを見ないことでした。
たとえば契約前に、
「夫に万一のことがあったら、妻のローンはいくら残る?」
「妻に万一のことがあったら、夫はいくら返済する?」
と、それぞれの住宅ローン残高を実際の金額で確認してみます。
そのうえで、通常の団信なのか連生型なのか、死亡以外にどこまで保障されるのか、保障を付けることで金利や費用がどれくらい変わるのかも見ておきたいところです。
健康状態などによって加入できない場合もありますし、住宅金融支援機構の団信でも加入後に保障内容を変更できない場合があると案内されています。
何十年も返済が続く住宅ローンだからこそ、「今、二人なら返せる」だけではなく、「一人になっても住み続けられるか」まで考えて借入額と団信を選ぶことが大切だと思います。
まとめ|団信に入っていても「住宅ローン全部ゼロ」とは限らない
ペアローンでは、夫婦それぞれが住宅ローンを契約し、それぞれ団信に加入する形が一般的です。
その場合、一方に万一のことがあってその人のローンが団信で完済されても、もう一方が契約している住宅ローンは残ることがあります。
一方で、夫婦どちらかに所定の支払事由が発生した場合に、対象となる住宅ローン全体を保障する連生型の商品もあります。
だから住宅ローンを選ぶときに確認したいのは、金利だけではありません。
「夫婦どちらかに万一のことがあったら、住宅ローンはいくら残るのか」
契約する前にこの金額まで確認しておけば、「団信に入っているから全部大丈夫だと思っていた」という思い違いを減らせます。
夫婦で家を買うときは、借りられる金額だけではなく、万一のときにもその家を守れる借り方なのかまで考えておきたいと思いました。
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参考にした公的情報
国土交通省「住宅ローンの金利リスクの普及啓発について」
住宅金融支援機構「団体信用生命保険の契約概要(詳細版)」
住宅金融支援機構「債務弁済の手続」
国税庁・東京国税局「団体信用生命保険に係る課税上の取扱いについて」


